震災後に目にする住宅被害の光景を思い浮かべると、倒壊した家や崩壊して散乱した瓦屋根の印象が強い方もいらっしゃるかと思います。
この光景や報道される映像が、「瓦屋根は耐震性が低い」、「震災時に崩壊しやすい」といった風評にも繋がってしまっています。
確かに、屋根材の重さと家の耐震性には深く関係していて、屋根が重いと家の重心が高くなって、震災時に建物の揺れが大きくなります。(反対に屋根材が軽いと揺れの影響は小さくなります。)
だからといって、「瓦屋根だから倒壊する」「軽い屋根だから倒壊しない」というわけではありません。
問題はその揺れに家の梁や柱、壁が耐えられるかどうかで、各部材が老朽化していたり、メンテナンス出来ていない部分があった場合は屋根材に関わらず倒壊します。
そういった老朽化が進んでいる築年数の経っている家の屋根が瓦屋根であることが多いため、「瓦屋根は地震に弱い」という印象が強くなってしまっているのです。
瓦屋根でも、現在の耐震基準に従った設計がきちんと施されている場合や、補強工事を行っている場合は、震災時でも大きな耐久性を発揮します。
旧来は下地の葺き土に瓦をグッと押し付けて固定するだけ、桟に瓦を引っ掛けるだけといった屋根が大半でしたが、現在では震度7の地震時にも耐えられる「ガイドライン工法」が普及しています。
屋根下地と瓦を1枚1枚ビスで固定したり、屋根頂上の棟には芯材を入れて瓦と下地をしっかり連結させることで耐震性は飛躍的に高くなっているのです。
また、瓦自体も改良が施されており、「防災瓦」という製品も普及しています。
隣り合う瓦がかみ合わさって支えあう構造になっており、瓦に強固なアームやロックがついているものもあります。